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2013年1月29日 (火)

被差別部落問題と日本国憲法第十四条

『部落差別をしてはいけない』というのは、このブログを読んでくださっている方ならわかっているかと思いますが、法的根拠はあるのでしょうか?

実はちゃんとあります。憲法十四条にちゃんと記載されています。以下、全文を引用します。

  1. すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
  2. 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
  3. 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

この条文において、被差別部落問題に関連するのは、「社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」という部分です。

『門地』という言葉はあまり聞きなれないと思いますが、これは『家柄』という意味です。この『門地』という言葉は、松本治一郎など部落解放活動家の強い要望で挿入されたと言われています。たまに『門地』という言葉を『出身地』と解説する人がいますが、そのような意味はありません。あまり使われない言葉のため、推測で意味を語られる事が多いようです。

なぜこの条文を持ち出してきたのかというと、現代社会は『法の支配』、つまり法治によって動いているからです。現代国家において、全てを律するのは法律です。過去の絶対王政などの独裁政治で、いわゆる人治の暴走が反省され、変わりに法を絶対的なものとするようになりました。

ですから、筆者がどれだけ『部落差別はいけない』と言っても、法で定まっていなければ無意味なのです。

ただし、憲法は民法や刑法などと違い、破ったところで何の処罰もありません。憲法は上位法であり、民法や刑法を制限しています。そして民法や刑法が国民を制限します。部落解放同盟の推薦する「部落解放基本法」や、「人権擁護法案」が提案されるのは、たんに憲法だけでなく、民法や刑法によって部落差別を刑事罰で抑えるという意味があります。いまのところ、部落差別を罰する刑法はありません。

そういう訳なので、『どうして部落差別をしてはいけないの?」と問われ、うまく説明出来ないときは、憲法十四条を紹介するのも一興かと思います。

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